BCネットワークは,アメリカ認定の非営利団体です。 日米両国に在住の日本人女性達に乳がんに関する最新の情報 、乳がん治療後の生活の取り組み、乳がん早期発見、 啓発情報発信を押し進めていく非営利団体です。 Knowledge is power.  正しい知識は患者自身の力、支えになると信じて活動しています 。


.乳がんの遺伝子検査って何? PART 1

2011年6月

最近“遺伝子検査”という言葉をお聞きになった方も多いと思います。乳がんにかかる方のなかには遺伝的な要素がある方もおられます。自分が遺伝性乳がんかどうか調べるための検査が乳がん遺伝子検査です。アメリカ発の検査です。

これから2ヶ月にわたり乳がん遺伝子検査とはどのようなものか、また実際に検査をしたBCネットワーク運営メンバー、これから検査を予定している運営メンバーからのQ&Aを掲載致します。

今月の第一弾は乳がんの遺伝子検査とは何か、どのような人が対象者か、検査の実施法、結果についての情報です。

遺伝子検査とは?


遺伝性乳がん・卵巣がん症候群のがんの発症に関与しているBRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に病的変異があるかどうかを調べる遺伝子検査があります。 この検査は、BRCA1/2遺伝子検査と呼ばれます。

BRCA1/2遺伝子は、乳がんや卵巣がんが多く見られる家系について調べた研究によって、乳がんや卵巣がんの発症と関連している2種類の遺伝子が同定され、それぞれ、BRCA1遺伝子(BRCA1)、BRCA2遺伝子(BRCA2)と名付けられました。これらの遺伝子のどちらかに、生まれつき病的変異があると、乳がんや卵巣がんを発症するリスクが高くなることが認められており、「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」と診断されます。また、病的変異のある遺伝子は、親から子へ1/2(50%)の確率で受け継がれます。よって、家族(血縁者)の中に乳がんや卵巣がんを発症した方が複数見られることがあります。

病的変異とは、遺伝子を構成している塩基配列の変化をいいます。遺伝子が変化しても、その働きには影響しないと考えられるものもある一方で、遺伝子の働きが失われたり、悪い影響を与えるような変異もあります。後者のような変異は病気の原因となることが多く、病的変異と呼ばれています。

ただし、乳がんや卵巣がんが多く見られる家系であっても、乳がんや卵巣がんを発症した方に必ずBRCA1/2遺伝子の変異が見つかるわけではありません。最近報告された日本人(遺伝性乳がん・卵巣がんを疑われた方)を対象にした研究結果によると、BRCA1/2遺伝子の変異が検出されたのは約27%(36/135症例)で、他の国々での報告と同程度以上でした。

検査の対象者について:


遺伝子検査を受ける必要の有無はまず遺伝子カウンセリングで相談する事ができます。 ご本人と家族の病歴などを基にカウンセリングを受けていきます。

下記の項目に一つ以上あてはまる 場合はカウンセリングを受けることが望ましいとのことです。

  • 本人が若年発症の乳がん(50歳以下、日本では40歳以下)
  • 本人または血縁者が2個の原発性乳がん(両側性の乳がん、片側に複数(別の)乳がん・乳がんの後に卵巣がんを発症など)
  • 本人が男性乳がん
  • 本人が卵巣がん・卵管がん・腹膜がん
  • 父方あるいは母方どちらか一方の血縁者に2人以上の乳がんまたは卵巣がん 〔例 : 母方の祖母が卵巣がん、母が乳がん・ 父方の叔母2人が乳がんなど〕
  • 血縁者に遺伝性の乳がんの原因遺伝子に変異が見つかっている
  • 父方あるいは母方どちらか一方の家系に乳がんと下記のがんの1つ以上の併発 (甲状腺がん・肉腫・副腎皮質がん・子宮体がん・膵臓がん・脳腫瘍・びまん性胃がん・皮膚粘膜の異変・白血病・リンパ腫)
  • リスクが高いと考えられている人種(アシュケナージ系ユダヤ人など)

これらの項目はNCCN (米国National Comprehensive Cancer Network) Clinical Practice Guideline in Oncology Genetic/Familial High-risk Assessment に記載されている「Criteria for Further Risk Evaluation」 〔詳しいリスク評価対象者の基準〕に基づいています。

BRCA1/2遺伝子検査を受けることを選択肢の1つとして考えているときは、遺伝カウンセリングで相談することができます。遺伝カウンセリングでは、遺伝子検査の方法や費用の説明があるだけではなく、遺伝子検査を受ける意義、遺伝子検査で分かること/分からないこと、遺伝子検査を受けることによる利益/不利益などについて話し合われ、あなたやご家族が遺伝子検査を受けるかどうかを決断するための支援が行われます。場合によっては、複数回の面談を重ねて、遺伝子検査を受けるかどうかの決断をされる方もいます。

あなたやご家族(血縁者)の乳がん, あるいは卵巣がんに遺伝要因が関係している可能性が高いとしても、遺伝子検査を受けるか受けないかを決めるのは、検査を受ける方ご自身です。医師や遺伝カウンセラーは、決めるまでの過程で支援していきますが、遺伝子検査を受けるように強要することは決してありません。 遺伝子検査を受けないことに決めた場合も同様に、今後の方針について話し合います。

検査方法の実施:


遺伝カウンセリングを受けた後、検査が必要で検査を受けると決めた場合はBRCA1/2遺伝子検査は、一般的な採血によって行われます。血液に含まれる細胞(白血球)からDNAを取り出し、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べます。BRCA1/2遺伝子検査は、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の診断をするのに役立ちます。。採血した血液を材料にして、アメリカではユタ州にあるMyriad Genetics, Incにて、また日本ではMyriad社と同検査について契約をした(株)ファルコバイオシステムズにおいて、遺伝子検査が行われます。受けた検査の種類によって異なりますが、1-4週間後に結果が分かります。

検査結果について:


担当医師または遺伝子カウンセラーから結果について報告されます。結果についは秘密保持となっています。遺伝子検査を受けることを決めて、その結果が戻って来たときには、あなたがどのように受け止められたかを確認し、今後の方針について話し合います。また、お住いの国(アメリカや日本)で受けられる医療や保険の制度が異なることにご留意ください。

検査の結果と補助療法について:


検査の結果が陽性の場合次の予防方法が選択肢としてあげられますが、担当医師と良く話会いをすることをお薦めします。 〔検査受診者が乳がんを既に発症している場合とそうでない場合〕

  • 毎月のセルフチェックを18歳-21歳ぐらいかいからはじめる
  • 年一度または6ヶ月ごとのマンモグラフィー受診を25歳-35歳からはじめる
  • 年一度のマンモグラフィーとMRIを受診 を25歳-35歳 をはじめる
  • 年一度または6ヶ月毎の経膣超音波 (Transvaginal ultrasound) とCA-125の腫瘍血液検査を25歳-35歳からはじめる
  • 経口避妊薬が卵巣がんになるリクスを減らすかもしれない
  • タモキシフェンなどを飲み乳がんになるリスクを減らす
  • 乳房を全摘、再建し、乳がんのリスクを減らす
  • 卵巣を全摘し卵巣がんのリスクを減らす


次回は実際に遺伝子検査を受けたことのあるBCネットワーク運営メンバーと, これから検査を予定している運営メンバーがそれぞれ医師に質問したQ&Aを配信する予定です。

日本での遺伝子検査を請け負っている会社はファルコバイオシステムズです. LinkIconhttp://www.familial-brca.jp/