乳がん患者は薬をかえるべきか

乳がん患者は薬をかえるべきか

乳がん患者は薬をかえるべきか

乳がん患者は薬をかえるべきか

Should Breast Cancer Patient make the switch?

CURE Spring 2009


 エストロゲンとプロゲステロンのホルモン受容体陽性の乳がん患者にホルモン療法が効果的であるということは医師たちには長い間の周知の事実です。しかし、閉経後の患者において別のタイプのホルモン治療薬に代えるほうがいいかどうかということにはまだ回答はでていません。

 初めにタモキシフェンを服用し、それからアロマターゼ阻害薬に代えるといいのか、それとも初めにアロマターゼ阻害薬のほうがいいのか。それとも2種類を順番にするのがいいのか、1種類のみがいいのかなど疑問は残ります。

 BIG(Breast International Group 乳房インターナショナル・グループ)の1-98治験からでた結果からいくつかの回答がでました。

 8000人以上の乳がん初期の被験者で行った3段階の研究が、2008年12月の第31回CTRC-AACRアメリカのサン・アントニオ乳がんシンポジアムで発表されました。

 2005年の研究結果ですでに、5年間フェマーラ(レトロゾール=アロマターゼ阻害薬)の服用がタモキシフェンを5年間服用するより効果があるということは発表されていました。そこで、2種類(タモキシフェンとフェマーラ)を順番に服用するほうがフェマーラだけより効果があるかどうかということが新しい分析の対象となりました。

 補正改正されたBIG1-98治験は、①5年間のフェマーラの服用と②フェマーラを2年服用後タモキシフェンを3年服用と③2年間のタモキシフェンの後3年間のフェマーラ服用の比較をしました。フェマーラのみを服用した場合と比べてると 薬の順を代えても乳がん再発無しの生存率を上げるという結果にはなりませんでした。

 しかし、初めにフェマーラを服用してからタモキシフェンを3年服用した場合の乳がん再発無しの生存率は、フェマーラのみを5年間服用した場合と区別がつかないという結果なったと研究者であるオーストラリアのシドニー大学のアラン・コーツ医師は本誌(CURE)に言いました。(この部分は、記事の記載されたアメリカのガン雑誌のキュアーCUREからの直訳ですが、臨床結果としては未だ不透明の部分がある事を申し上げておきます−BCネットワーク)

“これは重要なことです。なぜならフェマーラ服用による金銭的な負担や副作用のために薬を変えざるをえない場合に 効果を妥協することなしに薬を変更できる方法がわかったからです。”とコーツ医師はいいます。

 サン・アントニオ乳がんシンポジアムで同様の疑問にたいするデータが発表されました。タモキシフェンはこの薬品を充分に新陳代謝できない患者にも効果があるのかという疑問です。タモキシフェンは充分な薬効を出すためにはエンドキシフェンという合成物に新陳代謝されなければなりません。それに重要な役割をするのはCYPD6という酵素です。各個人それぞれ少しずつ異なるたんぱく質をコードする(記号化する)遺伝子をもっています。CYPD6もそれに含まれます。タモキシフェンを服用中の患者を対象にしたいくつかの研究で この遺伝子が活発でない人の再発率は、平均的に活動する酵素を持った人より高いということがわかりました。

 アメリカの研究者によって、タモキシフェンのみ服用した患者でゆっくり代謝型のCY2PD6を持った人は代謝の高い人と比べると再発率が4倍になると発見しました。専門家は、この結果が決められた手順としてタモキシフェンを飲む患者のCY2PD6を評価することと閉経後の患者で新陳代謝が良くない人はアロマターゼ阻害薬に代える必要があるかもしれないということの根拠となるとしました。閉経前の患者には、卵巣の摘出か卵巣機能を抑える処置をしなくてはアロマターゼ阻害薬は使えません。なぜならこの薬品は卵巣がエストロゲンを作らない場合のみしか効果がないからです。

 このテストがどのように解釈されるか、治療方針を決めるための決められた手順とすべきかどうかはまだ議論が必要です。(別の酵素もタモキシフェンを新陳代謝し、又CYP2D6遺伝子のいくつかの部分には変異があることがあるからです。)将来、研究者たちが協力し、この発見と新たな発見がCYP2D6のテストを推奨するという方向へ支持するかどうかを議論することになるでしょう。