Updated 2010-07-23
枝豆の話 Soy Story 
枝豆製品の乳がんへの影響を選別する
Cure Spring Issue 2009 Vol. 8 No.1
アジア諸国での枝豆製品の大量摂取と乳がんの罹患が低いことには関係があるのではないかという議論が長くされてきました。枝豆製品は植物性エストロゲンという植物性の化合物を含み、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持つため 乳がんがホルモン感受性陽性の場合、エストロゲンとホルモン受容体が結合します。(注:乳がんがホルモン感受性陽性の場合、ホルモン受容体とエストロゲンが結合するとがん細胞の分裂や増殖を活発にします。)
ある学説では、植物性エストロゲンがエストロゲンと同じ働きをすることによって 体が体内にエストロゲンがあると錯覚し体内のエストロゲンの生成をおさえる、あるいは、ホルモン受容体と結合する時、植物性エストロゲンのほうが体内のエストロゲンよりホルモン受容体の活動を活性化しないといわれています。
乳がんを経験した患者は、再発を防ぎたい期待という気持ちから植物性エストロゲンを多く摂取しようとすることがあるかもしれません。また、植物性エストロゲンはホルモン補充療法と同じ効果があり更年期障害(ほてりなど)を合成物質の副作用なしで緩和できると考える人もいます。
何らかの関係はあるかもしれないという期待はありますが、再発を予防する効果や反対に乳がんを刺激するという研究結果ははありません。
“いろいろ言われている諸説のすべては、短期的であり 研究上の細胞培養や動物実験でのことで、人体で乳がん予防できるかと実験した結果ではありません。高濃度のイソフラボン(大豆に含まれる植物性エストロゲン)を用いた長期的な研究をし、予防効果があるかどうか見極める必要があります。” とアメリカの州立ウェイン医科大学ファズルル・サーカー病理学教授は言います。
サーカー教授は、より多くの研究結果が出るまで大豆の摂取についてはかかりつけの医師に相談するよう勧めます。そして、豆腐などの大豆食品の摂取には悪影響が無いからといって多量の植物性エストロゲンを摂るために大豆サプリメントを摂取することは、乳がん細胞を増殖させるというマイナスの結果になりかねないとも言います。
サンフランシスコにあるカリフォルニア大学内科准教授のジェフリー・タイス医師は、“大豆食品の摂取は乳がん患者や経験者の低脂肪食生活のためには良いですが、大豆と他の原料をもとにして作った高濃度の植物性エストロゲンを含むサプリメントは勧めません。”と言います。
“臨床者のためのがんジャーナル”では、2007年カリフォルニアで行われた大豆とがんについての研究の総説で、乳がんのハイリスクの女性と経験者は高濃度のイソフラボンのサプリメントは摂取しないほうがよい、サプリメントは豆腐と比較した場合弊害がある、と結論を出しています。この総説は、タモキシフェンを服用中の人へも高濃度大豆サプリメント摂取に対して注意をうながしています。動物実験において タモキシフェンの効能(乳がんの増殖を遅らしたり止めたりする)をサプリメントが妨げるという結果が出たからです。
植物性エストロゲンはいろいろな種類があります。最もよく知られているのは、リグナン、コーメスタン、イソフラボンです。リグナンは植物の木質部や種皮にあります。アマニ(フラックスシード)はリグナンを含む食品の良い例です。コーメスタンは、ムラサキツユクサやもやしに含まれています。イソフラボンは、ムラサキツユクサや豆類(ヒヨコマメ、グリーンピース)、大豆には多く含まれています。豆腐やテンペなどの大豆食品には、生産の過程によっては低濃度で含まれていることもあります。
たんぱく質を多く含むということで、大豆食品は肉の代わりに(特にベジタリアンの食生活)では使われることがあります。バランスの取れた食生活として、低飽和脂肪酸と沢山の野菜や果物を食べましょう。豆腐などの大豆を自然な方法で製造した食品には害がなさそうとしています。最近増えている研究分野は、いかに食生活が乳がんの再発とかかわっているかということです。
“低脂肪の食生活は乳がんの再発を抑えるということは、無作為にされた治験の結果で証明されています。大豆食品はおいしく、低脂肪食生活をするためには万能な食品です。”と前出のタイス准教授は言います。