Updated 2010-07-23
BCネットワーク メールマガジン 2009年2月
Downsizing Swollen Limbs 手足のむくみを取るには
(Cure 2009年Winter号)
リンパ浮腫(lymphedema)は、乳がん、子宮ガン、前立腺がんなどの手術でリンパ節の郭清(リンパ節を取ること)をした人に現れることがあります。乳がんの場合、脇のリンパ節にがんが転移した場合、そのリンパ節を郭清するので リンパ液が腕にたまり むくみます。
最近、乳がんではセンチネルリンパ節という胸に一番近いリンパ節の生体検査をし、そこにがん細胞が無い場合の90%は、他のリンパ節に転移が無いという事でリンパ節の郭清をしないことがあります。
2007年の研究で 1000人の手術を受けた女性のうち センチネルリンパ節の生体検査を受けた女性の3~5%にリンパ浮腫になり、センチネルリンパ節以遠のリンパ節の郭清をした女性の16~27%にリンパ浮腫が見られました。この件数の数字の幅は、複数の原因(郭清したリンパ節の数、どの症状でリンパ浮腫というかなど)から生じています。乳房への放射線治療は、リンパ腺を傷つけるのでリンパ浮腫になる可能性を高めます。
リンパ浮腫が術後すぐに現れる場合や何年もしてから現れる場合がありますが、従来の治療方法と、新しい方法でコントロールできます。
リンパの洗い流しシステム
リンパ組織は、体内の細胞から液体を吸収し、それを太い管に送り込む とアメリカ・メリーランド州の国立海軍病院のニコール・スタウト-ゲーリック(リンパ浮腫の認定を受けたフィジカル セラピスト)は以下のように説明します。
“このたんぱく質を多く含む液体は、リンパ節を通過し 不純物を取り除き 体外へ排出します。もし、リンパ節を郭清したり傷がある場合には 液体は逆流します。細菌と他の炎症を起こす要素をリンパ液が体内組織から排出しないと その組織の近くに液体が溜まり、蜂巣炎(ほうそうえん)という炎症をおこします。それをうまく対処しないと抗生物質を点滴するために入院となることもあります。”
リンパ浮腫の発病は予測できません。術後すぐになる人や同じ手術をしても全く大丈夫な人もあります。
スタウト-ゲーリックさんは、乳がんの場合の過去の研究によるとリンパ浮腫の大半は、術後3年以内になる、しかし、術後20年で炎症を起こし初めてリンパ浮腫になる人もいあると言います。
高まる関心
過去においては 患者がむくみについて訴えるとどうしていいかわからないという対応でしたが、最近 アメリカの医師の中でリンパ浮腫への関心が高まり、リンパ浮腫の専門家のいるがん専門病院もでてきました。
すべてのリンパ浮腫が完治するわけではありません。しかし、症状が現れてから長い時間が経ってからでもCDT(Complete Decongestive Therapy うっ血緩和療法一式)で治療やコントロールすることはできます。CDTは、人の手間と長時間を必要とする多くの側面をもった過程です。とアメリカ国立リンパ浮腫ネットワーク(非営利の啓発団体)の理事長のサスキア・シアデンスさんは言います。
この過程には、いくつもの段階があります。まずはじめに、手でリンパドレナージ(認定されたリハビリ診療士がマッサージをすることで、リンパ組織を刺激し むくみを緩和します。次にリンパの流れをコントロールするため、腕用圧迫包帯をします。これは、効果的ですが 初めのうちは、身体的にも精神的にもきついことがあります。
腫れがおさまってくると、日中オーダーメードの圧定布の衣類を着、夜に腕用圧迫包帯をつけます。
シアデンスさんによると空気圧を利用した波動マッサージ器で腕のリンパ液を下から上に動かすという初期の治療方法は、CDTに取って代わられたといいます。空気圧を利用した波動マッサージ器は、他の方法と併用して リハビリ診療士の監視下で行われると効果はあると付け加えます。
皮膚の怪我は炎症につながるので、ガーデニングをする時には、手袋をするように、鋭利なものを扱う時は、十分に注意をするように、切り傷にはすぐに抗生剤をつける、屋外へ出る時には虫除けスプレーをするようにと診療士は勧めます。
レスリー・J・ウォルク(ミルウォーキー オーロラ サイナイ病院 リハビリ コーディネーター)は以下のように言います。“リンパ浮腫になっている人は、炎症を起こしやすくなっています。わきの下には通常35~40個のリンパ節がありますが、その約半数を郭清した場合、稀にですが ちょっとした虫さされや細菌が問題となることさえあるのです。患者さんに神経質になってほしくはありませんが、用心深く気をつけてもらいたいです。”
新しいコントロール方法
十数年前は、リンパ浮腫には腕を使いすぎないようにと忠告をうけましたが、現在は、軽い運動をするようにと勧められています。実際、水泳のような運動には効果があったという結果が報告されています。
“運動は、リンパ組織のポンプ効果を促進しリンパ液の流れを刺激します。国立リンパネットワークの国際学会で、研究者がウェイト トレーニングを含むきつい運動でさえ症状を悪化させることはなく、体重を減らすことになったと発表がありました。体重の増加はリンパ浮腫の大きな要因であるので、これは非常に重要なことです。”とウォルクさんは言います。
運動の強度については、前述のスタウト-ゲーリックさんによると冠状動脈ののバイパス手術をうけた人は適度に運動をするように勧められるが、リンパ浮腫についても同じです。“ウェイトリフティング、ロッククライミング、カヤックでも腕に注意をしていれは、何をしても良いのです。”といいます。注意をしていればという意味は、リンパ浮腫の兆候(むくみや張り感やチクチクした痛み)を自分で観察するということです。
乳がん経験者でリンパ浮腫になったシェリー・レベッド・デイビスが、彼女の兄弟2人(2人とも医師)と一緒にレベッド・メソッドという治療を兼ねた運動方法を開発しました。レベッド・メソッドの動きは、リンパ液の流れを刺激するように作られています。そしてこの運動法は、多くのがん治療病院で取り入れられています。レベッド・デイビスさんは、“リンパ浮腫を恐れないで。完治方法はないかもしれないが、落胆することはありません。私の場合、腕と胸部と背中にリンパ浮腫がでましたが、今の私をみて、それに気付く人はいないでしょう。”といいます。
彼女は、リンパ浮腫になる前にしていたゴルフを含む多くの運動を現在もしています。しかし、今はいつも圧迫包帯を腕と手に付けています。そして、いつも症状が出てないか注意を払っています。症状が出るとすぐに運動をやめないとならないからです。”18ホール全部まわることもあるけれど、9ホールしかまわれないこともあります。私は人生をあきらめたのではなく、コントロールするのです。“といいます。
アメリカでCDTの診療士を探している人は、National Lymphedema Networkの
サイトをご覧ください。
www.lymphnet.org
レベッド・メソッドのウェブサイトは、
www.lebedmethod.com