閉経前とホルモンと中年期の健康

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閉経前とホルモンと中年期の健康
 

閉経前とホルモンと中年期の健康
 

Harvard Women’s Health Watch
Volume14, Number3, November 2006

ホルモンの研究者は、更年期より閉経の前の時期に注目しています。 
 
近年 中年期の健康とホルモンの研究者は、明らかに混乱させる結果を出しました。その良い例はホルモン治療と心臓についてです。Nurses’Health Study など多数の大規模な研究では、ホルモン療法は心臓疾患病を防ぐと示しました。
しかし、2002年にはWomen’s Health Initiative (WHI) が、反対の結果をだしました。それ以来 新しい分析は閉経前と閉経後10年間はホルモン治療が心臓疾患病の予防に効果があるとし、それ以降にすると心臓疾患病のリスクを高めるとしました。
閉経前について注目するいくつかの小規模な研究が最近発表されました。
以下は研究の例です。
 

閉経前の抑うつ状態

更年期は、抑うつ状態を引き起こすという神話があります。実際は女性の抑うつ状態になる率は45歳から下がりだします。そして、更年期の女性はポジティブに物事を考える傾向があることは、多くの研究で明らかになっています。それではどうして更年期と抑うつ状態は関係あるのでしょうか。可能性の一つとしては、更年期と閉経前(perimenopouseと呼ばれる動乱の数ヶ月、または数年)が混同されているということです。
ホルモンは、この時期 めくらめっぽうに変化します。この変動が、少なからず多くの女性が経験するほてり、寝汗、膣の乾き、生理不順、不眠の原因となっているのでしょう。さらに多くの女性は気分の変動を訴えます。しかし、専門家は、ホルモンの変化のみが原因であるとはいいません。他の理由としては寝汗による睡眠不足や、肉体的なことだけでなく、人生の中年期における感情的や社会的な試練も挙げられます。例えば、夫婦関係の変化、年老いていく両親の世話、子供の親離れ、経済的心配などです。しかし、現在に至るまで 閉経前には深刻な情緒の動揺(ただの気分の変動ではなく)のリスクが高くなるということを確証する科学的な根拠があまりにも無いのです。
 
2006年4月のArchives of General Psychiarty上の2つのよく計画された研究によると、閉経前にさしかかる女性の抑うつ状態になるリスクは、以前そうなったことがなかった人でも高くなります。2つの研究は結論では、ホルモンの変化にいくらかの原因があるとしてます。これらは、どのようにしてホルモンの変化が抑うつ状態につながって行くのかという説明はしていませんが、将来 どのような人が人生のこの時期になぜ抑うつ状態になるかを識別するという研究を可能するでしょう。
 
ある一つ研究において、ペンシルベニア大学メディカルスクールが、35歳~47歳の231人の女性を8年間追い続けました。始めの時点では、全ての女性は、正常な月経周期を持ち、抑うつ状態の経験はありませんでした。研究者は定期的にその女性たちと健康面についての面談をし、採血しホルモンのレベルを調べ、抑うつ状態の査定をしました。そして、閉経前期には、以前より(月経が正常である時より)4倍抑うつ状態になりやすいという結果が出ました。閉経前の女性は、2.5倍うつ病になるという結果も出ました。抑うつの症状は、ほてりや喫煙や他のライフスタイルの要因を考慮しても、エストロゲンの量の大幅な変動と関係しています。
 
同様の研究で、Harvard Study of Mood and Cycles の研究者らは、460人36~45歳の女性を6年間追跡しました。そのうち誰一人としてうつ病の診断を受けたことはありませんでした。Massachusetts General HospitalとボストンのBrigahm and Women’s Hospital の調査員は、17%に深刻な第一期抑うつ状態の症状が出たことで、閉経前の時期に入ることによって そうなるリスクが2倍することを判明しました。ほてりがそのリスクをいくらか高める、そして、ほてりを緩和知るためや月経を正常周期にするためにホルモン剤を服用すると抑うつ状態になりにくいのです。
 
ホルモンの変動が、どうして抑うつ状態に関係するのでしょうか。
それは、明確にはされていません。しかし、ハーバードの研究者は、エストロゲンと神経の伝達をするセロニンが体内の調整に関係していると言及しました。不正常なセロトニンの量も抑うつ状態の要因となるかもしれません。それでそのつながりが、ほてりと感情の健康に関係するエストロゲンの変動に影響する原因となりえるのかもしれません。
 
2006年9月付けのAmerican Journal of Medicine の記事に、特定の 遺伝子の変化が、閉経前の抑うつ状態のリスクを高めると示しました。この研究者はStudy of Women’s HealthAcross the Mation (SWAN) 進行中の研究にも参加していて、1538の人の女性のDNAを分析しました。ある特定の人種において、特定のエストロゲン関連の遺伝子の変化が抑うつ状態に高い割合で関連していました。もし、このような発見が確証され、実践的な遺伝子テストが開発されるならば、いつかこの種の抑うつ状態のリスクが特に高い女性を識別することができるかもしれません。
 

心臓疾患病とホルモン

閉経後にエストロゲンの減少が、女性の心臓疾患の原因であるとされて久しいです。どうあろうと、私たちの心臓疾患のリスクは、卵巣からのホルモンが少なくなってきてから、急上昇します。更に、エストロゲンがコレステロールの数値と血管の機能(心臓の健康の目安)を良くすると研究で言われています。
 
閉経後にエストロゲンを補充することは、高齢の女性の心臓疾患病を遅らせるのに役立つことは明らかです。しかし、この長年受け入れられている考えは、PremarinとPremproによる WHI の無作為に行われた試験では (50~79歳の女性対象)、一応の標準に達しませんでした。ホルモン補充法により、いくらか良いことがもたらされますが、実際のところ 閉経後10年以上経っている女性においては心臓疾患のリスクを高めます。
 
Journal of the American College of Cardiology の2006年5月の研究は、更に掘り下げて書いています。女性のホルモンと心臓疾患管における基本的な推測に挑んでいるのです。Framingham Heart Study とオランダのユトレヒト大学の研究者とボストン大学のメディカルスクールのデータによって、エストロゲンの減少は心臓疾患の原因というよりは、結果であるであるという結論を出しました。研究者たちは、心肺機能の衰えが卵巣からのホルモンの早期減少(閉経)を引き起こすかもしれないと言います。これにより閉経を早く迎える女性は、心臓疾患病のリスクが高くなると説明できます。このメカニズムについて、研究者たちは、アステローム性動脈硬化症が卵巣に供給する血管を損傷する、または、心疾患のリスクの要因に間接的に影響を与える内分泌機能かも知れないと示唆します。
 
研究者は695人の女性(研究開始時は閉経しておらず 数年後に閉経した)の記録を調べました。閉経前の高いコレステロール値が、総コレステロール値の上昇と高血圧にし(喫煙を考慮にいれても)早い閉経と関連することを発見しました。その反対も真実といえます。つまりリスク要因を少なくすると閉経が遅くなるということです。閉経前のFramingham risk score(10年間に心臓疾患を起こすみこみみ)が、1%上昇することにより平均的に2年閉経が早くなりました。
 
この研究には、多くの疑問が生じます。例えば、もし心臓疾患のリスクが卵巣の機能に影響を与えるならば、閉経する年齢の差はもっと大きく離れないのでしょうか。研究者はこの2つの仮定は互いに矛盾するわけでは無いと気付きました。エストロゲン値が下がると心臓疾患のリスクが高くなり、そして同時に心臓疾患のリスクが早期エストロゲン値の低下の部分的な原因となるということです。しかし、どちらが重要なのでしょう。答えを導き出すには、出産期から始めるもっと長期的で大規模な研究が必要となります。
 
幸運にも 中年期やそれ以前の心臓疾患病を防ぐため、閉経前から出来ることはたくさんあります。喫煙(他人のタバコの煙も含む)をしない、出来るだけ毎日 中度の運動をする、食生活に多くの果物や野菜や精白していない穀物をとる、飽和脂肪酸やトランスファットを避ける、コレステロール値と血圧と体重をコントロールするなどです。スタチンと高血圧の薬も役立ちます。このような基準が閉経前の貴女のホルモンの状態に影響を及ぼすかどうかに関わらず、これらのことは、貴女の心臓と健康にも良いのです。
 
 

抗うつ薬かエストロゲンか

2004年8月のMenopauseにて、ハーバード大学とマサチューセッツのGeneral Hospital とカナダのマックマスター大学の研究者は、閉経前と閉経後の女性を対象とした抗うつ薬とエストロゲン補充の初めての比較を報告しました。
 
研究対象の32人の女性の半分は抗うつ薬(Lexapro=SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、そして残り半分は、エストロゲン補充とプロゲスティンを服用しました。抗うつ薬は、抑うつ症状の緩和を3倍効果がありました。それは、驚くことではありません。しかし、別の結果において、抗うつ薬(Lexapro) を服用したうちの56%の女性とホルモン補充療法を受けた中のたった31%が、ほてりや他の更年期の症状の緩和を報告したのです。
 
結果は、この分野において 多くの根拠が矛盾します。特に、エストロゲンは、抗うつ薬より効果的かということについてはです。例えば、2006年3月のJournalof the American Medical Association では、抗うつ薬(Paxil、Prozac、Efexor)は寝汗を緩和に効果はあるが、エストロゲン補充の方が優れているとされました。
非ホルモン系薬剤の研究は少なく、その結果の比較は難しいです。非ホルモン系薬剤の使用は費用や副作用のために制限があることが多いのです。ハーバードの研究結果は、ホルモン補充療法が更年期の症状の緩和に最も効果的であるという広く認識されている考察を否定しませんでした。しかし、エストロゲンの補充が出来ない、あるいは、したくない女性においては抗うつ薬は、別の選択肢になりえます。Harvard Women’s Health Watchの顧問、Dr. JoAnn Manson は、新刊(Hot Flashes, Hormones, and Your Health)にてエストロゲンにおける根拠とほてりの緩和する他の方法を検討し、女性が自分にあった療法をみきわめる手段を提供しています。
 

脂肪の多い魚は女性の腎臓がんのリスクを低下する

定期的に魚を食べることと心臓疾患と発作のリスクの低下の関係は多く研究されています。しかし、魚とがんについての研究は一致することが少なく、たいていの研究は脂肪の少ない魚と多い魚を区別していません。この区別が重要なのです。脂肪の少ない魚と多い魚は共に良いたんぱく質ですが、脂肪の多い魚はオメガ-3とビタミンD(さまざまな研究においてがんのリスクを低下させるたに必要な栄養素)をたいへん多く含んでいます。
 
スウェーデン(魚の大量消費国)での長期間に渡る栄養についての調査によると、定期的に脂肪の多い魚を食べる女性は、腎臓の細胞の石灰化のリスクが、定期的に食べない人女性より低いのです。腎臓がんの90%は、腎臓の細胞の石灰化によりおこります。毎年、14,000人のアメリカ人女性が腎臓がんの診断され、4000人が亡くなっています。
 
スウェーデンの研究者らは、腎臓の細胞の石灰化のリスクと脂肪の多い魚を食べる女性と脂肪の少ない魚を食べる女性61,433人(40~76歳)について調査しました。調査員は、食物のデータを研究開始時と10年後、その後平均15年後に集めました。脂肪の多い魚として鮭、ニシン、鰯や鯖がありました。脂肪の少ない魚は、たらや、数種類の淡水魚が挙げられました。
 
最低週に1度は脂肪の多い魚を食べる女性(研究開始時と10年後でも)は、食べない女性と比べ、74% 腎臓の細胞の石灰化にならないという結果がでました。同様の効果は脂肪の少ない魚や貝類(えび、ロブスター、ザリガニなど)には見られませんでした。その発見は2006年の9月20日付けのJournal of the American Medical Associationに発表されました。
 
研究の著者によれば、いくつかの仕組みによりどのようにして脂肪酸(EPAとDHA)ががんの発達に影響があるに違いないと明らかに出来るかもしれません。これらの仕組みは、悪性腫瘍により引き起こされた炎症、細胞の増殖と新たな血管の成長(血管新生)に影響を与える合成物をつくる役割を含みます。脂肪酸は、多くのビタミンDを含みます。別の研究では、血中の低ビタミンD値と腎臓の細胞の石灰化の関係を発見しました。
 
これは、脂肪酸と腎臓がんのリスクの関係についての初めての研究です。よってその結論は確証される必要があります。それまでの間、脂肪酸を常食に加えても、害は無く、そして多くの効果があります。いくつかの健康機関は、魚(脂肪の多い、かたくち鰯、青背の魚、ニシン、鯖、鮭、鰯、まぐろ、おお平目やマスなどに重点を置いて)を1週間に何回か食べるように勧めています。
 
This translation possible with a grant from Novartis Oncology.