乳がんサバイバーになるにあたって治療は始まりにすぎない

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乳がんサバイバーになるにあたって治療は始まりにすぎない

乳がんサバイバーになるにあたって治療は始まりにすぎない

Harvard Women’s Health Watch、October 2006
(Published by Harvard Health Publications, a division of Harvard Medical School)


乳がんになるという衝撃は、人それぞれで個人的なものです。それは、一時的な難関であり、人生を2つ(before and after)にわけてしまうほど険しいことです。
 
ペリー•コルモーはそのどちらも経験しました。彼女が、Lobular carcinoma in situ(非浸潤性ではあるが、浸潤性のリスクが高くなったことを意味する)の診断を受けたのは、45歳のときでした。予防のために、両胸の全摘出か単にしこりだけを取り除くかという選択が与えられ、彼女は 部分摘出を選びました。「私は、再発しない80パーセントに入っているものと軽く考えました。」といいます。
 
7年間 彼女に再発はありませんでした。そして其の後、彼女の反対側の乳房にあるしこりが浸潤性がんと診断された時、脇のリンパに12の転移がありました。彼女は乳房全摘出の手術、放射線治療と化学治療をうけました。
 
ペリーは10年近くcancer freeですが、健康面には恵まれませんでした。放射線により肺にダメージを受け、ぜーぜー息をしたり息が切れるようになりました。胸膜炎の発作と肺炎も乗り越えました。その肺の病気の治療のための抗生物質の多量投与による下痢で40ポンドも体重が落ちました。
 
ペリーの経験は、よくあるものではありませんが、乳がんに引き続いて後から何かあるかもしれないことを示唆しています。朗報としては、最近のサバイバーの寿命は5年前より長くなっています。しかし、化学作用によって命を救われたものの、長期に渡り副作用があるかもしれません。
 
 

サバイバーが必要としているものが認知されてきた

がんサバイバーが1千万人をこえ、科学者や医師たちがそのひとたちの健康状態に関心を持つようになりました。Then Institute of Medicine (IOM) は、がんサバイバーの生活の質(Quolity of Life) とケアを考えるという専門の委員会を設けました。その委員会のレポート”がん患者からサバイバーになる”が、2005年に発行されました。そのなかでは、初期治療が終わった時にがん患者へのケアが終わってしまうことがよくあると記されています。腫瘍内科医チームと家庭医(プライマリー ケア医)の間には、なんの連絡もないのかもしれません。 
IOMは医師に、治療後何年も続く医療のため”サバイバープラン”をつくるように勧めています。
 
ボストンのDana-Faber Cancer Institute、シアトルのFred Hutchinson Cancer Research Centerや、ニューヨークのSloan-kettering Cancer Center のような大規模ながん治療センターでは、サバイバーのための計画書やクリニックを設けています。
これらの医療センターでは、臨床医は、乳がん治療の影響を認識し、患者が健康で続いて病気にならないようにすることを専門として診ます。
 

治療の代償

サバイバーには、2つのタイプの副作用のリスクがあります。1つは、長期間続く副作用(治療開始より終了後も続く)、2つ目は後から起こる副作用(治療後 数ヶ月、あるいは数年してからおこる)です。
最もよくある長期的副作用は以下です。
 
1. 倦怠感  
約30パーセントの乳がんサバイバーは、治療後5年、またはそれ以上の間倦怠感を感じます。放射線治療や化学治療、そして筋肉の減少などに伴う貧血や炎症が、治療後の倦怠感の原因になります。治療するということで、精神的にまいってしますこともあります。深く研究はされていませんが、多くの女性には治療中、治療後も仕事や家事への責任感が肩にのしかかっています。これでまいらない人はいないでしょう。
 
2. 体重増加  
科学的には説明しきれないのですが、乳がんの化学治療をしている女性は、平均的に5~8ポンドの体重増加があります。その増加分は脂肪です。
 
3. 神経のダメージ  
手術により、手術をした側の胸の神経が傷つけられ、無感覚や痛みをもたらすことがあります。化学治療では、特に手足の末梢神経に影響があることもあります。
 
4. リンパ浮腫  
25パーセント以下の乳がんサバイバーは、病気の程度を調べるための脇のリンパ節を取ったことにより、腕の腫れを経験します。
リンパ節をとったことで、リンパの流れを傷つけることになり、リンパ液が手術をした側の腕に溜まり浮腫がおこります。リンパ浮腫は、手術後 数週間、または、数ヵ月後に現れ、其の腕に怪我をしたり、炎症を起こすと悪化します。
 
5. 更年期の不快感  
乳がんの治療後 多くの女性はタモキシフェン(エストロゲン阻害薬)を再発を防ぐため5年間服用します。タモキシフェンは骨密度を強化し、コレステロール値を良くするのですが、更年期の症状を起こします。主に、ほてりと膣の乾燥です。
 
6. 骨粗しょう症  
化学治療で更年期にしている人は、自然に更年期を迎えた人より 骨密度がおちることが多くあります。アナストロゾール(薬品名;アリミデックス)、レトロゾール(フェマーラ)、エキセメスタン(アロマシン)などのアロマターゼ阻害剤は、乳がん治療によくつかわれます。脂肪内や、他の組織内のエストロゲンをブロックするこれこれらの薬を使った治療は、タモキシフェンの治療より骨折のリスクを高め、関節痛や筋肉痛を伴うことがあります。
 
7. 2次がん  
乳がんのサバイバーは、反対の胸にがんになるリスクが高くなります。また、治療によっては、率は低いですが、他のがんを誘発する確立もあります。
例えば、タモキシフェンは子宮内膜がんのリスクを高くし、シクロフォスファミドは、急性骨髄性白血病のリスクを高めます。
 
8. 肺へのダメージ  
胸部への放射線が肺に当たると、肺の細胞が傷付けられます。約1パーセントのサバイバーが、放射線性肺臓炎(放射線治療の2、3ヶ月後に、炎症を起こし呼吸器の感染症)をおこしやすくなります。
 
9. うっ血性心疾患  
心臓へのダメージは、化学療法の量が少なくなるほど稀になります。しかし、ドキソルビシン(アドリアマイシン)の大量投与を受けた場合には、心筋へのダメージがあることがあります。そのダメージとは、身体や肺に液体をため、呼吸や運動をを困難にします。
 
 

乳がんによる心への影響

 
治療を終えるということは、がん経験の中で最もストレスを伴うことの一つです。
家族や友人は、治療が終わるとすぐに元の生活に戻れると思っています。しかし、患者にとっては、化学治療や放射線治療が終わったことを喜んだとしても、なにも特別に気持ちに変わったことはありません。身体の変化は元に戻る事はなく、はっきりしない気持ちでいることでしょう。
「治療から回復に要する期間は、治療期間と同じくらいかかるということを他人は判っていない」とへスター ヒル シュナイパー(ボストンのBeth Isreal Deaconess Medical Center の腫瘍内科のソーシャルワーカー ディレクター)は言います。シュナイパーと
他の医療従事者は、がん治療における心理的影響は身体への影響ほど認識されていないと述べます。心理的影響は、身体への影響と同じくらい奥深いのです。
通常、女性は構えていた気持ちをやわらげながらも、感情的には神経質で混乱しています。このような気持ちは 一人一人違いますが、多くは以下です。
 
1. 恐怖と不安  
化学治療や放射線治療、あるいは、5年間のタモキシフェン服用を終了したばかりの女性は、当惑することもあります。数ヶ月間に及ぶ治療と医療ケアのあと、突然 腫瘍内科チームから切り離されたような気がします。それと同じくらいよくあり、もっと苦しいのは、再発の不安です。
 
2. 深い悲しみ  
乳がんは喪失感を伴います。喪失感とは、完全に健康ではないというくらいの些細なものから、妊娠のことなどと大きなものまであります。苦悩や深い悲しみは、喪失感への自然な反応であり、喪失感をうめるには、数年も要するのです。
 
3. 自分のイメージの腐食  
治療の肉体への影響は乳房の喪失、髪の毛の喪失、体重の増加、放射線治療の時のやけどのようなあざ、そして 手術の傷跡があげられます。乳がんのサバイバーは、自分の事を以前ほど魅力的ではないと思い、活気が下がります。若い人ほど化学治療により更年期になったことに適応するのが困難とします。
 
4. 親密な関係への変化  
女性の性生活は、乳がんにより、大きく変わります。病気が、本質的な欲望を取り去るということは周知のことです。さらに、パートナーも、サバイバー同様に、乳がんによるダメージを身体と身体のイメージに感じるのかもしれません。
 
5. 家族への影響  
乳がんは、家族を巻き込みます。家族は、治療が終了した時、家庭が元に戻るように希望します。そして、妻あるいは母が、回復にもっと時間が必要ということに忍耐強く待てないことがあります。
 
 
 

サバイバーであるということ

乳がんとは、大型台風のようですが、人生への感謝の気持ちに支えられ、将来への夢を持ち、愛するたちからのサポートによって多くの女性はうまく乗り越えます。前述のペリー コルモアは、乳がんを人生の転換の支柱としました。乳がんが再発した時、彼女は新聞の編集員でした。彼女は病気の強烈さを経験したことにより、その体験談を人に伝えるべきだと思いました。彼女は、40人のサバイバーの写真エッセイ集”39 Women and One Man Speak Candidly about Serviving Breast Cancer”(Andover Townsman, 1997) を出版しました。
ペリーと夫は、子供たちが大きくなったので郊外の家を手放し、都心のアパートと海辺の家を購入しました。彼女は仕事を辞め、もっと乳がん患者のために時間を費やすことにしました。彼女は現在、病院で治療中の女性に付き添うボランティアと教会でがんサポートグループを運営しています。「私は、がんになって良かったとは言えないが、私の人生に満足しています。」と言います。
 

必要な助けを得ること

もし、あなたが乳がんサバイバーなら、以下のことは役に立つでしょう。
 
1. プライマリー ケア ドクターを上手く使う  
ジェニファー ポッター医師(ボストンのBeth IsrealHospitalで、女性の健康プログラムのディレクター)は、臨床医が、あなたのがんの病歴を全て知っていることは、大変重要だと言います。病歴には、手術の結果、放射線治療の記録、薬の情報を含みます。治療後初めての診察では、治療の経験や恐れについてオープンに話すとよいでしょう。もし、医師が不安そうな時は、がんサバイバーを患者に持った経験のある人に代えましょう。
 
2. サポートグループに入りましょう  
乳がん経験者はたくさんいます。同じ経験をしたひとと話すことが、治療のようなときもあります。
もし、特定のサポートグループを探すのならば(例えば、独身、10代の子供を持つ母)
見つかる可能性は高いです。もし、近くにないのなら、インターネットで見つけられるかもしれません。
 
3. 人間関係を安定させる  
もし、がんによって人間関係に緊張がもたらされたり、以前の問題を掘り起こすことになったら、誰かに助けを求めましょう。精神衛生関係の医療従事者が、よい相互作用の方法をアドバイスできるでしょう。
 
4. 自分へのご褒美  
病気の時、誰かがお世話してくれることに慰められたことでしょう。もう、患者ではないからといって、自分へやさしくすることをやめなくても良いのです。自分が楽しいと思うことのリストをつくりましょう。花瓶に生花を飾ることから、エステに行くなどをじぶんの人生のスケジュールに組み込むのです。
 
5. 将来への投資  
このことは、数ヶ月後に咲くアマリリスの球根を植えることほど小さいことから、新しいキャリアを始めるなどの大きなことがあげられます。将来の計画を立てるということは、必要のない恐怖を乗り越えるのに最適です。
 
This translation possible with a grant from Novartis Oncology.