乳房再建

BC Network

Young Japanese Breast Cancer Network

乳房全摘後の乳房再建

乳房全摘後の乳房再建

american cancer society logo.gifAmerican Cancer Society

 
 
 
《 目次 》
 
1. はじめに
2. 新しい選択
3. 乳房再建の目的
4. 乳房再建の方法
5. 人工物(人工乳房)を埋め込む方法
6. 組織、または、皮膚拡張器と人工物を埋め込む方法
7. 乳頭と乳輪の再建
8. 手術の前に
9. 手術に備えて
10. 手術のリスク
11. 手術の後に
12. 乳房再建とがんの再発
13. 回復への奉仕活動プログラム
14. 用語集
15. 情報資源
 
 

1. はじめに

女性が乳がんの治療のために自分の乳房全摘の決意をするとき、手術後の乳房に関する選択肢はいくつかあります。一つは、ブラジャーの中にパットをつけること、そしてもう一つは、乳房再建をすることです。
 
乳房再建を決める前に、どのようなことが伴うのか、何を期待すればよいのかをできるかぎり下調べをしましょう。この情報は、自分に最適な選択をするのに役立つでしょう。医師に質問や懸念事項があるときは、必ず相談しましょう。
 
 

2. 新しい選択

乳がんの発見と治療は目覚しく進展しました。今日の女性には、過去の女性に比べ多くの選択肢があります。例えば、以前より多くの女性が全摘ではなく乳房を残す手術を選んでいます。これは、乳房温存法(ランペクトミー)と呼ばれます。
 
しかし、乳房全摘を選択する女性もいます。そして、その中には乳房の外見をもとのように戻す手術をする人もいます。これを乳房再建といいます。
 
もし、あなたが乳房再建を考えるのなら、乳房全摘の手術の前に医師(全摘をする医師と乳房再建する美容形成医)に相談しましょう。そうすれば、医師たちは、あなたに最善の計画をたてることができます。あなたは、どういうことが起こるのか予想できます。
 
 

3. 乳房再建の目的

乳房再建の目的はおのおの違います。再建の理由として以下があげられます。
・ブラジャーを着けているような乳房の形にする。
・左右の乳房を同じ形にする。
・パッドを付けなくていいようにする。
 
裸のとき左右の胸の違いは分かりすが、ブラジャーを着けているときは、両方サイズ、形ともに同じようになります。そうすると、大概のデザインの服でも安心です。
 
乳房再建後、自分自身と自分の外見に誇らしい気持ちになるかもしれません。しかし、事実はこれだけではありません。乳房再建は手術前の問題を解決しないのです。もし、あなたが手術前の乳房の形が好きでなかった場合、手術後もそうなるでしょう。あなた自身と身近な人は、乳房再建について現実的に考えなければなりません。
 
乳房再建にどんなことが関わってくるかよく下調べをしましょう。それから決断しましょう。再建の方法は一つだけではなく、手術は一度だけではありません。主治医と再建のメリットとリスクを話し合いましょう。そして時間をかけてじっくり考えましょう。
 

4. 乳房再建の方法

失った乳房の再建する手術の方法はいくつかあります。メジャーな2つの方法は、 (人工物を埋め込む手術)とtissue flap surgery(自己組織を使う手術)があります。
 

5. 人工物を埋め込む手術 ( implant surgery )

この方法は、生理食塩水入りの人工乳房を皮膚の下に埋め込みます。この人工乳房は乳がんを切除するときに埋め込むこともありますし、後から別の手術ですることもあります。生理食塩水以外の材質(シリコンなど)は現在研究中で、治験の一部としてでしか使用されません。これらの研究を知りたい場合は、National Cancer Institute に連絡してください。 (1-800-4-CANCER または、LinkIconwww.cancer.gov)
 

6. 自己組織を使う手術 ( tissue flap surgery )

この手術では、おなか、背中、臀部から組織をとって乳房を作ります。この組織はflapといいます。時々、血管が組織に付いたままとることがあり、血管は切られて新たな場所で接合されます。以下は違ったタイプの自己組織を使う手術です。
 
TRAM(Transverse Rectus Abdominis Muscle) Flap (おなかの組織) 
下腹部の組織と筋肉で新しい乳房を作ります。皮膚、脂肪、血管と腹筋の一部を胸部に写します。この結果、下腹部の引き締めになります。
 
前述のように、組織に血管が付いたままのときがありますが(有茎皮弁手術)、血管は切られてから新たに接合されますときもあります。
(free flap surgeryという) 
free flap surgeryはあまりされません。
 
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TRAM Flap Procedure 
Muscle used — 手術に使う筋肉
 
Skin and Fat Tissue for Flap — 自己組織として使う皮膚と脂肪
 
Transplanted Skin, Fat and Muscle — 移植した皮膚と脂肪と筋肉
 
Closed Abdominal Incision — 縫合した腹部切開部
 
 
 
 
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Free Flap Procedure
 
Blood Vessels(Magnified) — 血管(拡大図)
 
Muscle — 筋肉
 
Skin — 皮膚
 
Fat — 脂肪
 
 
 
Free Flap Procedure 
DIEP Flap(deep inferior epigastric artery perforaor)この方法は、下腹部の脂肪と皮膚を使い、筋肉は使いません。
この手術は、TRAM Flap より時間がかかります。
DonorSite.gifDonor Site DIEPFlap.gifDIEP Flap 
 
 
Latissmus Dorsi Flap 
この手術は、背中の筋肉、皮膚、脂肪と血管を使います。皮下でトンネルを作り組織を前の胸部に動かします。そこへインプラントのためのポケットをつくります。インプラントで再建された乳房をふくよかにできます。稀にですが、術後に背中、肩や腕に虚弱さを感じることがあります。
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Latissimus Dorsi Flap Procedure 
 
Skin Used for Flap — 自己組織として使う皮膚
 
Latissimus Dorsi Muscle — 広背筋
 
Implant Under Muscles — 筋肉下に移植
 
 
 
 
 
Gluteal Free Flap 
これは、新しい手術の方法です。臀部からの組織(臀筋)を乳房を作るのに使います。方法は、前述のfree TRAM flapと似ています。
 
 
7. 乳頭と乳輪の再建 
乳頭と乳輪をつけるのは、個人の判断です。これは、通常再建後の乳房が落ち着き、傷が治ってから付けられます。
 
乳頭と乳輪用の組織は、自分の皮膚を使います。新しい乳房からでも、反対側の乳頭、耳たぶやももから組織をとることもあります。全摘でとった乳房の乳頭は、がん細胞があるかもしれないので使いません。反対側の胸にあわせるようにタトゥーで作ります。
 
 
8. 手術の前に 
乳房再建を決めたら、たくさんのことを考えなければなりません。第一に、学会で認定されている乳房再建の経験豊かな美容形成外科医を探さなくてはなりません。全摘をする外科医に聞くと良いでしょう。American Society of Plastic Surgeons(ASPS)に連絡をし、その美容形成医が認定医であるか確認をとりましょう。
 
美容形成医との診察のとき、テープレコーダーをもって行くのも良いでしょう。または、友人や家族に付き添ってもらい、医師の言ったことを一緒に聞いてもらうのも良いでしょう。以下は、聞くとよい質問です。自分の質問も付け加えて聞きましょう。
 
・何件の乳房再建をしましたか。
・私は、乳房再建できますか。
・どのタイプの手術が私に最適でしょうか。それは何故。
・どのような結果が予想できますか。
・どのような問題が起こりえますか。
・どのくらいの痛みがありますか。
・回復にかかる時間はどのくらいですか。
・家で傷跡とドレインのため、どのくらいの介護が必要ですか。
・もし、腕がむくんだらどうしたらいいですか。(リンパ浮腫)
・同じ手術をした人とお話することはできますか。
・写真を見せていただけますか。
・どのくらいの間インプラント(人工乳房)はもちますか。
・体重の増減があったらどうなりますか。
 
手術前にセカンドオピニオンを聞きにいくのは名案です。乳房再建と乳房全摘は、緊急ではありません。正確な情報とメリットとリスクの明確な理解に基ずいた決断をすることは、とても重要です。
 
 
9. 手術に備えて 
乳がんの診断を受けてからすぐに乳房再建について考え始めてもよいです。乳腺外科医と美容形成医が協力してあなたのための最善の計画をたてるべきです。
 
あなたの健康診断の後、医師はあなたの年齢、健康状態、体質、ライフスタイルと目的などを考慮しどの手術法が良いか説明します。医師は、それぞれの手術のメリットとリスクを率直に言うべきでしょう。
 
あなたは、乳房再建に何を期待しますか。乳房再建することにより外見をよくすることと自信につながりますが。結果は改善であり、完璧にすることでないのです。
 
もし、あなたのする手術と同じ手術を最近に受けた人と話したいのならば、Reach to Recoveryのボランティアが、乳がんになった人の相談を受けるように訓練されています。あなたの地域のボランティアと連絡を取りたいときは、医師や看護師に聞くか、1-800-ACS-2345に電話をしてください。
 
以下は、あなたの医師が説明すべきことです。
・どこで手術をするか
・どのような麻酔を使うか
・術後なにをするのか
・費用について
 
乳房再建の費用の大半を健康保険の会社が支払うでしょう。保険で適用されるか確かめましょう。そして、どのタイプの手術が適用内か適応外が調べましょう。時として、保険会社は乳房補正パッドの費用を支払った場合は、再建の手術の支払いを拒否します。
 
あなたの医師が手術の準備について説明します。食事、飲み物、喫煙についてや、手術前のビタミン剤やお薬についても含まれます。手術後につれて帰ってくれる人と2~3日は手助けをしてくれる人を探しておきましょう。
 
乳房再建は、通常複数回の手術となります。はじめは、乳房の土台を作ります。これは、乳房摘出のときでも、後からでもできます。その他の乳首や乳輪をつくるのは、病院でも外来専用のクリニックでもできます。
 
はじめの手術はほとんど全身麻酔で行ないます。つまり、あなたは、手術中眠っているというわけです。後の手術は、部分麻酔です。うとうとする薬をもらいます。目は覚めていてリラックスしてはいるのですが、多少不快感を感じます。
 
10. 手術のリスク 
乳がんのために乳房を切除した女性の大半は乳房再建の手術を受けます。しかし、いかなる手術でもリスクを伴います。そして、再建には、独自の問題があります。
例えば、
・出血のリスク
・痛み、腫れを伴う体液の蓄積
・傷跡
・感染症
・一部または、全体のflap(再建に使った自己組織)の死(壊死)
・乳頭と乳りんの感覚の変化
・疲労
・別の手術の必要性
・手術をした方の腕の変化
・麻酔による問題
 
喫煙によるリスク: 
喫煙は、血管を細くにます。これにより、体への栄養と酸素の供給は少なくなります。喫煙は、術後の傷の治癒を遅くし、あなたの回復にかかる時間は長くなります。喫煙は、傷跡を目立つようにもします。ときとして、これらの問題は深刻で、別の手術が必要となります。
 
感染症のリスク: 
感染症は、どの手術にでもありえます。感染症は、通常術後1〜2週間に起こります。もし、インプラントの埋め込みの手術をしたなら、感染症が治るまでそれを取り出す必要が生じることもあります。そして、新しいインプラントを入れることになります。もし、自分の組織でした場合は、手術で傷を清潔にします。
 
傷の拘縮のリスク: 
これは、インプラントのまわりの傷が固くなりやわらかいインプラントを押し付けることです。このことにより、乳房が硬く感じます。この問題には、いくつかの解決方法があります。ときとして、傷跡の組織を取り除く手術が必要となります。インプラントを取り除くか、取り替えることが必要となることがあります。
 
 
11. 手術の後に 
埋め込みの手術をした後、1~2週間の間疲労と痛みを感じ、自己組織を使った手術の場合は、それが更に長引きます。医師が痛み止めの薬を処方してくれます。手術のタイプにより、家に1日~2日で帰ることができます。手術をした部分から体液を取り除くドレイン(チューブ)をつけたまま家に帰ることになります。傷跡の手当てとドレインについて医師からの指示に従ってください。もし、質問や問題があった場合は、医師に電話をして下さい。
 
6〜8週間で平常の生活に戻れます。もし、自己組織を使わないで手術した場合、更に短い期間で平常の生活も戻れるかもしれません。以下を覚えておくとよいでしょう。
 
・乳房再建した乳房に普通の感覚はありません。しかし、少々の感覚は戻ってくることもあります。
・組織が完治し、傷跡が薄くなる1〜2年かかることもあります。しかし、傷跡は完全に消えることはありません。
・ストレッチ運動と平常の運動をするにあたり、形成医の指示に従ってください。一般的に、高いところへ物を持ち上げること、激しい運動やセックスは術後4週間から6週間は控えてください。
・乳房の切除から何ヶ月〜何年かしてから再建した人は、乳房再建後精神的な適応に時間を要するかもしれません。乳房を失ったことに慣れるのにかかった時間と同じくらい新らしい乳房に慣れるのに時間がかかります。自分と同じ経験を持つ人と話したり、精神科の専門家と話をすると助けになります。
 
 
12. 乳房再建とがんの再発 
乳房再建の手術はがんの再発に影響しません。再発時の治療への問題もありません。
人工物または、自己組織の手術で、稀に再発を見つけることが難しくなることがあります。以下を覚えておくとよいでしょう。
 
・手術をしていない乳房のママグラムを定期的にしましょう。ママグラムは、経験豊かなところで撮りましょう。
・すべての医師がインプラントを入れて再建した乳房のママグラムを薦めません。このような場合は、この経験豊かなところへ行きましょう。自己組織を使っての再建の場合は、その乳房のママグラムを撮る必要はありません。
・乳房の触診を医師か看護師にしてもらい、もし、乳房に何か変化を感じたときは、医師か看護師に伝えましょう。再建後、自己触診をすることも大事です。手術をしていない乳房と再建した方の皮膚をチェックしましょう。新しい乳房の感触は違って感じるでしょうし、反対の方も違って感じるかもしれません。どのような感じが通常となるのか学ぶとよいでしょう。
詳細については、医師か看護師に聞くか、1-800-ACS-2345に電話をしてください。
 
 
13. 回復への奉仕活動プログラム 
Reach to Recoveryは、乳がんの経験を持つ訓練を受けたボランティアとあなたを結びつけるAmerican Cancer Societyのプログラムです。この手術を考えている人を乳房再建をしたボランティアが訪問します。この訪問は無料です。
 
この訪問をリクエストするには、医師や看護師に聞くか1-800-ACS-2345に電話をしてください。または、ウェブの“Contact Us”ボタンをクリックしてください
 
14. 用語集 
Anesthesia: 
感覚を麻痺させるための薬品やガス。全身麻酔では、完全に眠ってしまいます。部分麻酔は、特定の部分のみの感覚を麻痺させます。
 
BREAST conservation surgery: 
部分切除。乳がんとその周りの正常な組織を切除する手術。残りの乳房は、そのまま残されます。
脇のしたのリンパ節も取り除かれることもあります。しばしば、放射線治療が手術後にされます。
この手術の別名は、lumpectomy, segmental excision, limited breast surgery, partial(segmental) mastectomyです。
 
Breast reconstruction: 
乳房全摘後の乳房の形の再建。インプラントか自己組織をつかいます。
 
Capsular contracture: 
インプラントの周囲に作られる瘢痕組織。これにより乳房が硬く感じられます。
 
Delayed reconstruction: 
手術後しばらくしてからする乳房再建。
 
Immediate (one-stage) reconstruction: 
乳房全摘出と同時にする乳房再建。
 
Mastectomy: 
乳房切除
 
Microvascular surgery: 
顕微鏡と小さい器機を血管や神経を縫合するために用いる手術。
 
Necrosis: 
壊死。血液の供給不足のために細胞が死ぬこと。
 
Two-state reconstruction: 
この方法は、皮膚と胸壁が硬く、平らなときに使われます。インプラント・エクスパンダーが、皮膚と胸筋の下にいれられます。
これは、後に塩水で膨らませた風船のようになります。十分な隙間ができたときインプラントを入れます。
 
 
 
15. 情報源 
American Cancer Society (アメリカン キャンサー ソサイエティー)
電話: 1-800-ACS-2345
ウェブ: www.cancer.org 
乳がんの情報と乳がんになった女性のための資源とサポートとの提供
 
American Society of Plastic Surgeons (ASPS)
電話: 1-888-4-PLASTIC(475-2784)
ウェブ: http://www.plasticsurgery.org 
乳房再建の情報と認定医の紹介
 
Food and Drug Administration Consumer Information Line (食品衛生局消費者情報)
電話: 1-888-463-6332
ウェブ: www.fda.govまたは、www.fda.gov/cdrh/breastimplants/ 
FDAの乳房インプラントの消費者ハンドブック
 
National Cancer Institute
電話: 1-800-4-CANCER
ウェブ: www.cancer.govまたは、www.crinicaltrials.gov 
 
Y-Me National Breast Cancer Organization
電話: 1-800-221-2141
ウェブ: www.y-me.org 
国立のホットライン。乳がん経験のある訓練されたカウンセラー(男性と女性)による情報とサポート提供。