講演/第3回seminar上野先生


Young Japanese Breast Cancer Network

2008年10月26日(日) BCNetwork 第3回乳がん早期発見啓蒙セミナー           (在New York日本国総領事館 大使公邸)
講演内容

講師:上野直人先生(腫瘍内科)テキサス大学 M.D. Anderson Cancer Center 

ピクチャ 1.pngueno_naoto.jpg 講師:上野直人先生(M.D.Anderson Cancer Center 教授 )

「最高の医療をうけるための患者学」

 何が米国と違うのか?

LinkIcon 患者の力
LinkIcon 患者を育てる力

 テキサス•メディカルセンターの紹介

テキサス•メディカルセンター

ピクチャ 2.png 
年間患者数480万人、
従業員約6万2千人
 
13病院と多数の研究機関、
テキサス大学と
ベイラー大学医学部

ピクチャ 3.png clickで拡大

M. D. アンダーソンがんセンター  テキサス州立大学病院

ピクチャ 5.png ピクチャ 6.png 
病床 480 床
職員 16,000 人
新患 26,000人/年間

photo_01.jpg clickで拡大

全米評価ランキング第1位の癌病院(2008年)

ピクチャ 4.png usn-wr-badge-2008.jpg 

 
 MD Andersonlogo_1.gif 
University of Texas M.D. Anderson Cancer Center, Houston ,  TX  77030
LinkIconwebsite 

  • 臨床試験
  • 基礎研究
  • チーム医療
  • 患者中心の医療

 チームオンコロジーの定義

  • LinkIcon 医療従事者が患者のニーズを考慮しガンの治療とケアを目指して連携プレーをする
  • LinkIcon 医療従事者が証拠(エビデンス)に基づいて判断する。 標準療法とそれ以外の治療(例、臨床試験、代替療法)の違いとその適応を明確  に日々の臨床で明確にする
  • LinkIcon 医療従事者がハイレベルな癌の研究を目指して、連携プレーをする(エビデンスの吟味と発信)

ピクチャ 7.png clickで拡大

ピクチャ 8.png clickで拡大

ピクチャ 9.png clickで拡大

ピクチャ 10.png clickで拡大 

 チームオンコロジーABCの職種の配置例

チーム A  

チーム B

チーム C

医師、看護師、薬剤師、
放射線技師、栄養士、
リハビリ療法士、病理技師 
etc.

臨床スピリチャルケア、心理職、福祉職、ソーシャルワーカー、音楽療法士、
絵画療法、、アロマセラピー、
図書館、倫理士、
etc.

家族, 友人、基礎研究者、疫学研究者、
製薬メーカー、診断薬メーカー、
医療機器メーカー、NPO/NGO、
財界、政府、
etc.

Team Aの心構え
 Active Care Team

職種の配置
医師、看護師、薬剤師、放射線技師、栄養士、
リハビリテーション療法士、病理技師など
役割、特徴
患者に医療を直接的に提供する
問題解決型
EBMとコンセンサスに基づく治療による患者の満足の達成、
EBMの発信

Team Bの心構え
Base Support Team

職種の配置
臨床スピリチャルケア、福祉職、心理職、ソーシャルワーカー、
音楽療法士、絵画療法士、アロマセラピスト、図書館司書、倫理士
役割、特徴
主観のケア=対話型ケア
共感的関わりとサポート:治療の基盤整備、
患者のニーズをサポートする、
患者の主観的な課題への取り組みの証人、
患者の物語の能動的な聴き手
自己決定を促すことで、患者の満足度の向上を図る

Team Cの心構え 
Community Resource

職種の配置
家族、友人、患者会、基礎研究者、疫学研究者、製薬メーカー、
診断薬メーカー、医療機器メーカー、NPO/NGO、マスメディア、
財界、政府など
役割、特徴
患者のニーズを間接的にサポートする
患者及びチームA、Bを包括的にサポートする
責任ある市民の視点を発信
地域資源の活用

 チームA と B の課題

チームAの課題

チームBの課題

Team A間のcommunicationを推進する
Team Bの役割を知り、連携
Team Bの技法をスキルとして身につけ実践する  

  • 評価的でない傾聴
  • 問題解決を急がない

Team Aの役割を知る
Team Aとの柔軟なcommunicationがもとめらる。
Team Aと患者のcommunicationのリエゾンにもなりえる  
Team Aへのケア  
Team Aの基本的医学知識を身につける  

 チームCは何をするべきか

チームCは何をするべきか

チームオンコロジーABCの関係

AとBの真の役割を知る必要がある
 
断片的ではない、包括的な知識、情報を身につける、責任ある市民
 
「がん」医療の方向性をつくる

環境と患者のニーズにより ABC のマインドセットの比率が変化する
 
患者の治療の流れの中でABCのマインドセットの比率が各職種で変化する

ピクチャ 14.png 
 
 
 
 
ーーーーーーーーー LinkIcon

ピクチャ 15.png clickで拡大

 Quality of Life(生活の質)

患者の満足

病気を治す、あるいはコントロール

満足の高い生活の質

完全な納得と理解

ピクチャ 16.png

患者の満足度

お任せ医療の限界

医療従事者と家族は聞く耳をもつ (active listening, advocate the patient)

患者は話をする (advocate yourself)

医療チームと患者の対等な関係  患者はチームの一員である

正確かつオープンな情報開示
証拠に基づく治療の受け入れ
インフォームド・コンセントの理解
臨床試験および治験の成功
患者の権利の理解と認識






ピクチャ 3.png


すべての患者には下記の項目を受ける権利がある

尊厳のある質が高く思いやりのあるケア
分かり易くすべてを網羅した情報(治療およびその結果)
決定していく過程への参加 
個人的な信条および価値観への思いやり
希望および必要な内容への迅速な対応
完全はプライバシーと情報機密の保持
患者の安全の確保 
疼痛の認識と治療




システムを変えるのは簡単ではない でも自分自身を変えるのは簡単である


 システムを変えるのは簡単ではない。でも自分自身を変えるのは簡単である。

1. 癌は慢性病である   あせるな

•パニックになる必要はない
マラソンを走ると思ってください  
 
  - 自分にあった最高のコーチを見つける
  - ペースをつくる

  • 早いのもだめ
  • 遅いのもだめ

- 長期と短期のゴールを決める

2. 医師の話した内容を取得する

•家族や友人と一緒に話を聞く
   - 精神的支えとなる
   - 正確に話しを覚えていてくれる
   - 客観的に判断してくれる
 
•メモをとる (書き取れなかった場合は再
   度説明をお願いする)
 
•医師の許可をもらって説明を録音する
   - メモをとらないで話しを聞くことに
     集中することにより、的確な受け答え
     ができる

3. 医師の話した内容を分かり易くする

•理解出来る言葉で話してもらう。 理解できなければ、分からないと言う
 
•医師に自己学習するための方法を訊ねる
 
•医師の言った内容が判らなければ、質問のしかたを変えてみたり,違った方法で答えを説明してもらう
 
•書いてもらう。説明された図やメモのコピーを貰う

4. 質問上手になる

•質問するにはタイミングが重要
   - 医師と余裕をもって話が出来る機会を
     設定する
   - 医師の話に対して十分理解し考える
     余裕をもってから質問。
   - あせりは禁物
   - 直前はやめましょう。
     手術および化学療法前
 
•事前に質問内容を渡しておくのも一つの
  アイデア
   - 整理、整頓
 
•納得するまで質問する
   - 治療方針が決定するまでによく話し
     合う 「意味のない、つまらない質問などありません」  

5. 医師の話した内容を消化する

•時間を与える
 
•聞いた事を言葉にする
 
•家族、友人が理解できなければ…
 
•必要なら理解したことを医師に繰り返し
 て伝えてみる

6. 標準療法なのか、それとも…

•標準療法:
   - 根拠があるか、専門家間の合意が得ら
     れている治療法
   - ガイドライン
   - 複数の選択肢の可能性がある場合が
     ある
   - 患者さん自身に見合った治療を見つけ
     ることができる
 
•標準療法でないなら、
   - なぜ 
   (最新治療、コンセンサス、適格…)
   - 納得できる?
   - 臨床試験も考慮

 7. 治療・ケアを決める

ベネフィト(恩恵):プラスになるのか?

  • がんが小さくなる
  • 長く生きられる
  • がんがないまま生きられる
  • 生活を楽しめる
  • 仕事ができる
  • 精神的にいいのか

リスク(危険度):危険はないか

  • 副作用、その程度、
  • 死亡

8.自分の希望を伝えましょう

•ライフスタイルや希望によってがん治療の個別化
 
   - 乳房を失いたくない
   - 副作用の強い治療を受けたくない、
     積極的な
   - なるべく入院期間を短くしたい 等々
 
•どこまで知りたいかも自由です
 
•希望は常に変化する

9. 恐れずに果敢にチャレンジしましょう

•納得がいってますか
   - セカンド・オピニオン
      診断結果や治療方針に納得出来ない
      場合は、セカンド・オピニオンを他の
      医師に求めましょう
      他に治療法がないと言われた場合でも
      積極的にセカンド・オピニオンを求め
      ましょう
 
•臨床試験への参加も考慮する
   - リスクとベネフィト、どの開発段階か
   - 本当に自分にあっているか
   - 優れた臨床試験は非常に倫理的である

 最高の医療をうけるための9ヶ条

最高の医療をうけるための9ヶ条

  1. あせるな、慢性病
  2. 医師の話した内容を取得する
  3. 医師の話した内容を分かり易くする
  4. 質問上手になる
  5. 医師の話した内容を消化する
  6. 標準療法なのか、それとも…
  7. 治療・治癒の決める
  8. 自分の希望を伝えましょう
  9. 恐れずに果敢にチャレンジしましょう

最高の医療をうけるための患者学(講談社、アルファ新書)

風邪をひきました。
 
LinkIcon 何時なりましたか

 
LinkIcon 医学的な病名を知っていますか

 
LinkIcon 治療の中身を知っていますか

 
LinkIcon なぜその治療を受けているか知っていますか

 
LinkIcon 副作用をしっていますか

 
LinkIcon 希望を伝えましたか

シナリオ:乳ガン
 
あせるな、慢性病
 LinkIcon  乳癌、焦る必要なし, it’s just a cancer
 
医師の話した内容を取得する
 LinkIcon  本当に覚えている, do you remember?
 
医師の話した内容を分かり易くする
 LinkIcon  わかりやすかった、意味が分かっている, did it make sense?
 
質問上手になる
 LinkIcon  質問した? Did you ask any questions?
 
医師の話した内容を消化する
 LinkIcon  Treatment? Goal?
 
標準療法なのか、それともーー
 LinkIcon  正しいの、なぜこの薬、なんでこれ飲むの
 
治療・治癒の決める
 LinkIcon  人生の目標?
 
自分の希望を伝えましょう
 LinkIcon  仕事をしたい、つかれたくない
 
恐れずに果敢にチャレンジしましょう
 LinkIcon  臨床試験 

身近な病気で鍛錬しましょう 

時間がかかります 

健康の維持あるいは病気と立ち向かうかは本人次第です

医療従事者とどのような関係を作るかが成功の鍵です 

チーム医療の一員になりましょう

 Patient Advocacy

Advocate yourself
 
Advocate the patients

 
「病気」に勝つ、
さらに「自分」に克つ
 teamoncology_banner160.gif 

LinkIconチームオンコロジー 

上野直人著書.gif 
 
講談社+α新書
 
上野直人(著)
発行年月日:2006/07/20
サイズ:新書判 
ページ数:205
ISBN:978-4-06-272388-6