講演/第2回東京交流会 森先生

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Young Japanese Breast Cancer Network

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Dr.森美樹スライド1.png 聖路加/森美樹i.jpg  講師:森 美樹先生(乳腺外科/聖路加国際病院ブレストセンター )  

今日のお話の流れ

1.乳がん治療の流れ
2.乳がん治療の副作用(放射線治療、化学療法、ホルモン療法、手術)
3.リンパ浮腫 

1. 乳がん治療の流れ  

Dr.森スライド2.png  clickで拡大

2. 放射連治療の副作用  

急性障害                放射線療法の期間中や、終了直後に現れる
けん怠感
皮膚が赤くなったり、ヒリヒリ、カサカサ。
水ぶくれ
副作用は一時的
晩期障害                数ヵ月~数年後に現れる
照射部位の皮膚の色調変化、萎縮、皮下組織の硬化、乳腺組織の萎縮 (5%以下)
腕のリンパ浮腫
肺炎

 抗がん剤副作用の対処方法 

悪心•嘔吐             50          1-3           つわり      長くても1週間       制吐剤
脱毛               100                      15-17           全禿       終われば生える       なし(かつら)
好中球減少時の発熱           5                         8-12                 38℃       2−3日          抗生剤内服
色素沈着              60                         28                    手、顔      終われば消える       なし

3. リンパ浮腫  

手術の副作用

● リンパ浮腫
● 局所の感覚障害


ピクチャ 3.pngclickで拡大

リンパ浮腫とは?

リンパシステムが障害
 ⇩
血液循環にリンパ液を送り込めない
 ⇩
リンパ液の流れが停滞
 ⇩
組織のすき間にタンパク質や水分などが過剰に滞留

皮膚のしくみ

• 体温調節作用: 血管の拡張や収縮による熱の調整
• 保護作用  : 外傷から守る、外傷を癒す
• 知覚作用  : 外界からの刺激を感じる

皮膚の構造

• 表皮:層状になった表皮細胞-皮膚表面の保護.
•真皮:毛細血管・リンパ管,毛根,感覚受容器
•皮下組織:脂肪と線維組織.栄養分の貯蔵と保温,衝撃を緩衝.血管,リンパ管

皮膚の構造.pngclickで拡大

リンパ系とは?

  • • リンパ組織
  • • リンパ管系

リンパ液ってなに?

  • • 淡黄色の透明な液体
  • • 水分
  • • リンパ球
  • • たんぱく質・脂肪

リンパ管系の働き

  • • 過剰な組織液を血液中に戻す
  • • 血液中のタンパク成分量を維持
  • • 細菌・ウイルスが血管内に入る前に捉えて血液循環に入る のを防ぐ

リンパ液が流れるしくみ

  • • リンパ管そのものの壁運動:1分間に約10回の収縮
  • • 管腔内の弁による逆流防止
  • • 壁外からの圧迫:動脈の拍動,呼吸,消化管運動,筋収   縮,関節運動,皮膚への刺激(マッサージ)
  • (これらにより,リンパの流れは10-20倍に活性化される)
  • リンパ節

  • リンパ節は,リンパ管の経路の要所に点在する結節
  • (働き→)
  • ①細菌やウイルスを処理するリンパ球を産生している
  • ②リンパ液の中に含まれる細菌や異物を取り除くため
  • リンパ節の構造

    いんげん豆大  形:丸いあるいは腎臓 全身に600~700個
    機能  ・・・関所としての役割
     1.多数のリンパ球⇒感染が起こったとき免疫反応により生体
       を防御
     2.リンパ液をろ過⇒死んだ細胞や老廃物,同時に病原体を退
       治して除去⇒これらの毒素を取り込んで消滅させ血液の流
       れに入れない

    主要なリンパ節

    主要なリンパ節.png 
    主要なリンパ節とリンパ系
     
     
     
     
     
     
     
     
     
    clickで拡大

    リンパ分水嶺とネットワーク

  • リンパ分水嶺.png
  • 乳がん領域でのリンパ浮腫の原因

     
    腋窩郭清        → リンパシステムの障害  
     
    腋窩への放射線照射   → リンパシステムの障害  
     
    上肢感染              → リンパ液の著明な増加  
    腋窩周辺の圧迫(リュックサックなど) → 体表リンパ管の閉塞  
    腋窩への著明なリンパ節転移,上肢への癌の進展 → リンパシステムの障害

    腋窩リンパ節

    腋窩リンパ節.pngclickで拡大

    リンパ浮腫の症状

    腫れ
    だるさ:老廃物がうまく運び出されないので疲れやすくなる.
        患肢の重みを支える
    感染しやすい:組織液の循環が障害されているので,免疫能が
        低下するため

    リンパ浮腫の症状の程度

     
    ①軽症
    ②水分が多く,浮腫を改善させやすい時期
    ③皮膚の線維化が目立つ時期
    ④線維化が増し,皮膚の硬さが目立つ時期

    発症の時期

    •個人差がある
    •リンパ節郭清を受けている場合には,術後長期間経っていても
     発症することもあるので予防について知っておきましょう
    •完全に治癒することは難しいが,適切な処置をすることで症状は
     改善する
    •早期に治療を始めるのが望ましい

    初期に発症しやすい部位

    上腕,前腕の内側
    胸部
    背部(後腋窩部)
     

    治療法

     
    複合的理学療法について
     
       
     
     ②医療徒手リンパドレナージ
     
     ③圧迫療法
     
     ④運動療法(圧迫下)

     
     
     

    スキンケア

    スキンチェック:皮膚の状態を確認し、治療がすぐに始められるか判断する
     
    スキンケア:日常での皮膚の保湿やスキンケア

    医療徒手リンパドレナージ

     
    •細胞間の過剰な組織液を、マッサージを行ってリンパ管に誘導し、むくみを改善させる。
     
    •皮膚に直接、手を当ててやさしい圧でゆっくりと行う

    マッサージ手順

     
    ①前処置:深部リンパ管の働きを促し、患肢に貯留したリンパ液を健康なリンパ管系に誘導し
         やすい環境をつくる(肩回し、腹式呼吸、健康なリンパ節、体幹)
    ②患肢の処置:健康なリンパ管系にリンパ液を誘導するため、患肢の付け根から指先へと段階
         的にすすめる
    ③後処置:患肢から導いてきたリンパ液を、健康なリンパ管系に誘導する
    マッサージ手順.pngclickで拡大 

    圧迫療法

     
    むくみが改善された状態を保ち、さらに改善するために行う
     弾性包帯.png1. 弾性包帯 
     弾性圧迫衣.png2. 弾性圧迫衣:弾性スリーブなど 

    運動療法(圧迫下)

    •筋ポンプによりリンパ液の流れを促す方法
    •弾性包帯や弾性圧迫衣で圧迫した状態で行うことで、より効果を高める
    •各関節の屈伸運動

    リンパ小疱・リンパ漏

    真菌などの皮膚感染
    蜂窩織炎

    リンパ小疱•リンパ漏

    やわらかいガーゼなどで軽く圧迫
    清潔を保つ

    真菌などの皮膚感染

    •密着した皮膚の間にやわらかいガーゼをあて、通気をよくする。
    •受診:抗真菌薬

    蜂窩織炎

    •症状:発赤、熱感、発疹、発熱
    •早めに受診
    •マッサージ・圧迫療法・運動療法は中止する

    毎日のスキンケア

    保湿
    小さな傷のケア
    冷房・直射日光への対処
    あせものケア
    虫さされ
    剃毛・除毛

    日常生活で気をつけること

    ①皮膚の保護
    血圧測定、採血、注射は健側で行う
    締め付けのある衣服→下着/靴/時計/指輪
    深爪、虫さされ、ペットの掻き傷など
    ②過労を避ける
    長時間の温泉浴、サウナは避ける
    長時間の同じ姿勢での作業は、時々休憩を入れる
    重い荷物は小分けにする