Updated 2008-08-25
2007年11月18日(日) BCNetwork 第1回 経験者と医師の交流会 (Tokyo)
講演内容
講師:竹井淳子先生(聖路加国際病院乳腺外科)

講師: 竹井淳子先生(聖路加国際病院乳腺外科 )
乳がんリスク因子NCCNガイドラインより
年齢
初潮が早い
閉経が遅い
未経産婦
第一子出産時年齢が高い
乳癌の家族歴
増殖性良性乳腺疾患の既往を有する
放射線曝露を受けたことがある
BRCA1/2、p53またはPTEN遺伝子変異
現在および過去におけるエストロゲンおよびプロゲステロンのホルモン補充療法
体格指数(BMI)が高い
飲酒
乳腺密度が高い
NCCN(R) 腫瘍学実践ガイドライン −2007 年第 1 版 乳癌リスク軽減
リスク/ベネフィット評価およびカウンセリングの内容
リスク軽減選択肢については、共同で意思決定を行う環境において話し合いを行うこと。乳癌リスク軽減のため、以下のことなどについて話し合う。
強い家族歴のためにリスクの高い女性または極めて若年に乳癌または卵巣癌が発生した場合は、遺伝学的カウンセリングを勧めること。NCCN遺伝的要因/家族歴による高リスク評価ガイドラインを参照。
タモキシフェンまたはラロキシフェン
-
- タモキシフェンまたはラロキシフェンによる相対的および絶対的リスク軽減について話し合う。
- タモキシフェンまたはラロキシフェンに対する禁忌:深部静脈血栓症、肺塞栓、血栓性卒中、一過性虚血発作の既往、妊娠または確実な避妊が行なわれず妊娠の可能性のある場合。
- タモキシフェンまたはラロキシフェンによくみられる重篤な有害作用。年齢依存的なリスクを強調。原稿セクションの表2および表4を参照。
手術
-
- 高リスク女性ではリスク軽減乳房切除術について話し合う。リスク軽減乳房切除術は、一般に、BRCA1/2などの強い素因誘発遺伝子を有する女性、強力な家族歴、LCISのある女性に限定して考えること。評価時に、手術および再建手術の相談なども行うこと。心理的な相談も考慮する。
- 乳癌または卵巣癌リスクおよびリスク軽減両側卵管卵巣摘出術の選択について話し合う。
スクリーニング、リスク評価またはその他のリスク軽減介入の臨床試験に参加するという選択。
健全なライフスタイル
-
- ホルモン補充療法に伴う乳癌リスクについて考える
- 飲酒を制限
- 運動
乳がんの発症リスクを下げる7項目
体重管理
飲酒
運動
ビタミンD
ホルモン剤
乳房密度
化学予防
- 米Harvard Women's Health Watch誌の1月号
体重
体重/BMI
Nurses’ Health Study
-
- 閉経後女性87,143例
- 体重変化が浸潤性乳癌発症頻度に及ぼす影響を検討
- 18歳以降に体重が25.0kg以上増加した女性では、体重が変わらなかった女性と比較して乳癌リスクが増大した
- 閉経後ホルモン補充療法を使用したことがなく、閉経後体重が10.0kg以上減少し、その減量が継続して認められている女性では、体重が変わらなかった女性より乳癌リスクが有意に低かった
BRCA1/2変異のある1,073組の女性を対象
18〜30歳に体重が10ポンド以上減少した場合、30〜40歳における乳癌発症リスクが低下する
(オッズ比=0.35、95% CI:0.18〜0.67)
食事
食事療法
閉経後女性48,835例を対象
-
- 低脂肪食(脂肪の摂取を1日当たりの総摂取カロリーの20%に制限し、果物、野菜および穀物の消費を増やすなど)
- 平均8.1年間にわたり低脂肪食を摂取
- 浸潤性乳癌発生頻度における統計的有意な減少は示されなかった
- 試験で有意性はないものの減少傾向が観察
→追跡期間を延長することによって低脂肪食が乳癌リスクに有意な作用を及ぼす証拠が得られる可能性のあることが示唆される。
飲酒
飲 酒
多数の試験で、中等量の飲酒(1日に1〜2杯)によって乳癌リスクが30〜50%増大することを示している。
閉経後女性51,847例を対象
-
- 飲酒量増加とエストロゲン受容体陽性乳癌発生率の増大
- しかし、飲酒量の減量による乳癌発生頻度の変化については、詳しく検討されていな不明。
運動
運 動
40〜65歳の女性90,509例を対象
活発な運動を1週間に5時間以上
相対リスクは0.62(95% CI:0.49〜0.78)
浸潤性乳癌患者4538例
無活動な女性と比較して乳癌リスクが20%低下していた
(オッズ比=0.82、95% CI:0.71〜0.93)
イソフラボン
お味噌汁を一日3杯以上飲むと乳がんの発生率が下がる
厚生労働省の研究班が、1990年から10年間、岩手、秋田、長野、沖縄の4県の40〜59歳の女性を追跡調査
お味噌汁を一日3杯以上飲むと乳がんの発生率が40%も下がる
イソフラボンは「弱いエストロゲン」
体内活性という体の中での働きを示す指標は本物のエストロゲンの1000分の1以下。
体のなかにエストロゲンが過剰にあるときには、イソフラボンが過剰なエストロゲンの邪魔をしてその働きを弱めてくれて、逆にエストロゲンが体内に少ない時はその代わりをしてくれる
大豆イソフラボンのゲニスチンが、初期のがん細胞の血管新生を抑えて腫瘍の増殖を抑制作用がある。
イソフラボンの摂取目安は、40mg/日くらい
きなこから大さじ3杯
納豆なら半パック
-
- きなこ 2.6mg/g
- 納豆 1.3mg/g
- 煮豆 0.6mg/g
- 豆乳 0.4mg/g
- 豆腐0.5mg/g
メラトニン
メラトニンとは・・・
生体の時間リズムの調節にかかわっているホルモン
午前1〜2時頃、分泌量が最大
卵巣からのエストロゲンの分泌を促進する作用
→夜中に光を浴びると・・・
→メラトニンの分泌が抑制
→それに伴って卵巣からのエストロゲンの分泌が亢進し
→乳がんリスクが高くなるという仮説があります。
青魚
エイコサペンタエン酸(EPA)& ドコサヘキサエン
青魚に豊富に含まれるn-3系脂肪酸の血中濃度が高いほど、乳がんの発症リスクが低くなる。
-
- 愛知県がんセンター疫学・予防部の栗木清典氏らのグループが日本人を対象に行った研究の結果。
- International Journal of Cancerの3月12日号に掲載
喫煙
喫煙と乳癌
喫煙と乳癌は関連性があるとした文献9件
関連性がないとした文献は16件
→「危険因子になるか否かは不明であり,両者の間に関連性があると決定できない」
関連がある文献では・・・
閉経前の女性は、喫煙によって乳がんになるリスクが、3.9倍
受動喫煙だけでも2.6倍
閉経後の女性では、喫煙や受動喫煙の影響ははっきりみられなかった。
-
- 厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)
- 岩手、秋田、長野、沖縄の4県で、90年に生活習慣アンケートに答えた40〜59歳(当時)の女性約2万2000人を約10年間追跡調査し、180人が乳がんになった。
外因性エストロゲン
代表的な内分泌かく乱物質
有機塩素系化合物
-
- Tetrachloro-p-dioxin(TCDD)
- 1,1,1-Trichloro-2, 2-bis(p-chlorophenyl)ethane(DDT)
- Polychlorinated biphenyls (PCBs)
- hexachlorobenzene (HCB)
- dieldrin
フェノール・フタル酸類
-
- Bisphenol
- Di(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP)
スズ化合物
-
- tributyltin (TBT)
植物エストロゲン
-
- Isoflavones (genistein, daidzein)
医薬品
-
- diethylstilbestrol (DES)
イソフラボンを過剰に摂取しつづけた場合・・・
甲状腺ホルモンの分泌を弱らせる可能性
妊娠中の過剰摂取は「胎児の脳の発育や生殖機能に障害が起こる可能性」
→1日50mgの摂取なら安全といわれている
ホルモン環境を一定に保つこと(恒常性)が重要
ホルモン環境の乱れによって,各臓器の正常な機能の喪失とともに腫瘍発生を引き起こす要因
外因性エストロゲンと悪性腫瘍との関連を疫学アプローチによって検討
なかでも脂肪組織または血清中のPCBまたはDDEレベルと乳がんとの関連を検討した疫学研究が多く報告
Wolffら(1993)がDDEとPCBについて有意なリスクの上昇を報告しているが,量反応関係はPCBでは明確ではなかった。(米国のWomens Health Study対象者)
デンマークHoyerら(2000)は,総PCBでは有意な関連は認められなかったが,PCB138では有意なリスクの上昇
DDEの場合も,総PCBと同様に,有意な関連はみられなかった.
Hoyer ら(1998, 2000)は,乳がん症例で血清dieldrin濃度が高く,乳がんの生存期間は血清dieldrin濃度が高いほど短くなる
トピックス
遺伝子検索
Representative molecular profiling
-
- Intrinsic Subtype: 2000, Nature
- 70-Gene Profile: 2002, N Engl J Med
- Oncotype DX: 2004, N Engl J Med
- Wound Response: 2005, PNAS
HOME